軌跡

―三浦春馬さん―

2023-03-15「僕のいた時間」コラム

2023年3月15日 HOMINISの配信

※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

三浦春馬が難病と闘う青年をまっすぐな芝居で体現!多部未華子と演じる"運命の恋"も胸に刺さる「僕のいた時間」

圧倒的なビジュアルの強さもさることながら、観る者の心に深く染み入るような演技で知られる俳優・三浦春馬。彼が難病に悩み、苦しみながらも今を生きる若者を体当たりで演じたドラマが、2014年に放送された「僕のいた時間」だ。

澤田拓人(三浦春馬)は、現在就職活動中の大学3年生。とある商社の集団面接中、電源を切り忘れていた本郷恵(多部未華子)の携帯電話が突然鳴り響く。どうしていいかわからず混乱する恵をかばうように、拓人は立ちあがり、電源を切り忘れていたことを面接官に詫びる。そんな運命的な出会いを果たした2人は、大学構内で再会。拓人が同じ大学だったということを知って驚く恵だったが、お互いに例の商社の面接で落ちたと聞き、拓人に謝罪する。拓人は、そんな恵に「落ちた理由を直接聞きに行こう」と誘うも、当たり障りのない回答をされて商社から追い返されてしまう。今日1日だけ、企業から内定をもらえないという現実から逃避するため、拓人と恵は、海へ遊びに行く。シャンパンを飲みながら楽しいひと時を過ごしたふたりは、3年後の自分に向けた手紙を書き、空のボトルに詰めて砂浜に埋めた。その後も拓人は、サークルの先輩で大学院生の向井繁之(斎藤工)に気晴らしに付き合ってもらったりしながら就職活動を続行。しかし、そんな拓人の体に異変が起こり始める...。

三浦が演じるのは、筋肉が徐々に衰えて呼吸困難に陥り、最終的には人工呼吸器をつけないと死に至ってしまう難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と闘う青年・澤田拓人。大学時代は生きる目的を漠然としか考えていなかったが、自身がALSだということを知り、残された人生を模索していくこととなる。

物語は、大雨が降る薄暗い都会の雑踏の中、車椅子に乗った拓人がずぶ濡れになりながら、ひと言のセリフもないままで彷徨う場面からスタート。拓人の主治医となる神経内科医師の谷本(吹越満)がALSの症状を説明するナレーションが流れる中、三浦は無表情かつ一切のセリフなしという状態でありながらも、拓人の胸に渦巻く絶望や、やり場のない悲しみを見事に表現している。

そして、拓人がまだ病魔に冒されていない大学3年生の冬から、拓人とその運命の相手・恵との恋を描いていく。容姿端麗で、困っている見知らぬ女性を身を張って助けるため、鳴ってもいない自分の携帯電話の電源を切る演技までやってのける拓人。面接後に恵に呼び止められて助けた理由を聞かれた際も、さりげなく名前を聞き出すだけでなく、「別にかばった訳じゃないから。自分のため。面接官にアピール」と、彼女の負担にならないよう、笑顔で優しい嘘をつくなど、やることなすことカッコいい青年を爽やかに演じている。恵と大学構内で再会し、お互いに不採用だったことを報告しあう際も明るい笑顔で彼女を安心させ、2人の初デートとなった海辺でも、恵に「そっち」と呼ばれた際に「そっちじゃなくて、拓人」と、流し目で名前を呼ぶように甘い声で話すなど、三浦は、声のトーンや多彩な表情、視線などを駆使して、恵が拓人へ恋してしまう理由に圧倒的な説得力を持たせている。

また、第1話のクライマックスでは、冬の夜、屋外で言葉を交わす中で寒そうに身を縮めながらも「寒くない!」と笑顔を浮かべる恵に、背後から優しくマフラーを巻くシーンが登場。恵から「こういうのって、彼女にしかしちゃいけないんだよ」とたしなめられた際に「...なんでかな」と、照れ笑いを浮かべてから「...守りたくなる」とつぶやく場面での、三浦の切なげな表情に、誰もが胸キュンしてしまうこと確実だろう。

拓人と恵の恋のはじまりを描く第1話から、少しずつ、彼らの幸せに忍び寄る病魔。2人の未来に待ち受ける運命と、常に命のリミットを意識しながらも前向きに生きていく彼らの姿を温かな視線で描いていくヒューマンストーリー。三浦による渾身の演技を、最終話までしっかり見届けて欲しい。

文=中村実香

 

出典:HOMINIS

 

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