軌跡

―三浦春馬さん―

2019-03-16「ダイイング・アイ」インタビュー(前半)

2019年3月16日 FRAUの配信※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

三浦春馬】俳優として“違う景色が見たい”という気持ちは常にある

日本を代表するベストセラー作家による、異色のハードサスペンスが、ついにドラマ化される。原作者の東野圭吾さん自身が、「映像化の話はまず来ないと思っていた」と語る『ダイイング・アイ』。三浦春馬さん演じるバーテンダーの雨村慎介は、かつて交通事故を起こしたが、今はある事件によって、詳細な記憶を失っている。そこに、謎の女が現れ、雨村は狂気と苦悩の世界へと迷い込んでいく――。大人のドラマ作りに定評のあるWOWOWで、三浦さんが単独主演を務めるのはこれが初めてだ。

「30歳までに結婚」とか
「30歳までに英語を習得」とか
いつの間にか考えなくなりました

――WOWOWのドラマ作りには、どんな印象がありますか?

ある先輩から、「民放のドラマ作り特有のスピード感や、局を挙げての賑わいがある感じも面白いけれど、WOWOWの場合は、じっくりと“大人の作品”を作っているイメージ。楽しんで!」とアドバイスされました。

原作自体が、東野圭吾さんの作品の中では異色というか、サイコミステリーと呼べるようなジャンルで。謎解きの要素はもちろん、人の深層心理の部分を探っていくようなスリルと、ゾクッとする怖さもありつつ、とにかく次の展開が気になった。僕も一気に読んでしまいました。

――今回は、交通事故をきっかけに記憶を喪失する役ですが、演じるにあたって、どんな準備をなさったんでしょうか。

交通事故が引き起こす“無責任の拡大”を問題視した社会派のドラマで、主人公の心情の変化が、とても丁寧に描かれるんです。最初に、脚本の吉田紀子さんが、原作に書かれていない雨村という人物の生い立ちを丁寧な文章で説明してくださったので、彼がどんな家庭で育ち、どんな子供時代を送ったのか、自分で決め込む作業をしなくて済みました。

――具体的にはどんな設定ですか?

雨村には、出来のいい兄がいて、母親からことあるごとに兄と比べられて、コンプレックスがあった。なんでも出来る兄を眩しく感じていて、自分の出来なさ加減に苦しめられていたんです。そんななか上京して、バーテンダーという職業にやりがいを感じる。

それまで何の取り柄もない、どこにも拠り所がないと自覚していた男性が、ようやく自分の居場所が見つかったと思ったのに、ある一つの選択が、自分と周囲とを狂わせていく。その人間の苦しみ、運命の皮肉が克明に描かれた作品になっているんじゃないかと思います。僕自身、今まで演じたことのないタイプの役に挑戦できて、難しかったですけど、楽しかったです。

――印象に残っているのはどんなシーンですか?

バー「シリウス」のオーナー江島役の生瀬(勝久)さんとのやりとりです。痺れるシーンが多かった。尊敬していた江島に対して徐々に不信感を抱くようになって、後半は、雨村の中に虚無感のようなものが生まれてくるんです。丁寧に演じたつもりなので、そのコントラストがうまく伝わるといいんですが。

――今回のドラマもそうですが、春馬さんは、常に自分に課題を与えた上で、作品を選んでいる印象があります。

「違う景色が見たい」「新しいことに挑戦したい」という気持ちは常にあります。マネージャーとも、「面白いことがしたいよね」といつも話していますし。例えば舞台にしても、1月はストレートプレイの『罪と罰』、4月からは、再演になりますがミュージカルで『キンキーブーツ』と、人間存在そのものをテーマにしたようなシリアスな作品から、煌びやかで華やかな作品まであるので。振り幅は広いと思われているかもしれないですね。

――『ダイイング・アイ』での挑戦ポイントは?

記憶喪失の役は初めてでした。あとは、ミステリーをどっぷりやらせていただいたこと。得体の知れない恐怖に怯える役どころで、回を重ねるごとに、それが正体を現していく。心情の変化を、週ごとの展開の中で見せていけるのは、ドラマのいいところだと思います。

あ、あとはバーテンダーという役もですね。バーテンダー監修の水澤さんのお店のバーカウンターでカクテルを作らせてもらいました。マッドスライドとか、アレキサンダーっていうカクテルにハマりました(笑)。同じ材料を使っていても、作り手によって、味の柔らかさが全然違うから、カクテルって奥が深いんです。

――この4月で29歳。20代最後の年ということで、感慨はありますか?

28歳になって、年齢を重ねた分、演じられる役柄が増えてきていることを実感しています。でも、そこに甘えないようにしたいです。若い頃は、「結婚は30歳までに」「30歳までには、日常会話に困らない程度の英会話はマスターしたい」とか、30という年齢を、一つの区切りとして考えていたんですが、30歳を目前にして、30歳以降、どう戦っていけるかの方が大切だと思うようになりました。

英会話の勉強も続けていますけど、他にも、信頼できる師匠の元で殺陣を習ったり、積極的にアートギャラリーに足を運んだり。今はとにかく、体がいろんなことに触れたがって、いろんなものを吸収したがっているみたいで(笑)。あまり年齢は意識せず、体の声を聞くというか。本能的な欲求に素直に従うようにしています。

 

Photo:Noriko Yamamoto Styling:Naoki Ikeda Hair&Make-up:Akemi Kurata
Interview&Text:Yoko Kikuchi

出典:FRAU

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●インタビュー後半はこちら

 

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