軌跡

―三浦春馬さん―

2018-12-01「罪と罰」インタビュー

2018年12月1日 Kiss PRESSの配信
※配信元の記事は削除済です
※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

舞台『罪と罰』より三浦春馬にインタビュー

ロシアの文豪ドストエフスキーの傑作長編小説を英国人演出家フィリップ・ブリーン氏が舞台化した『罪と罰』。本作は、“正義”のためなら人を殺す権利があると考え、殺人を犯す主人公の心理描写を描くミステリーサスペンスを主軸に、若者の自分探し、当時のロシアの貧困生活、心の拠り所としての信仰や哲学的な問いかけ、愛といった多彩なテーマを持つ。主人公の青年・ラスコリニコフを演じるのは、フィリップ氏と2度目のタッグとなり「世界中どこを探しても彼の他には考えられない」と絶大な信頼を得ている三浦春馬さん。これから稽古に入るという本作への意気込みを語ってもらった。

この難作をどこまで掘り下げていけるか
フィリップの助言を受けながら期待に応えていきたい

―日本公演のために再構築され、「7年間、まるで心臓の鼓動のように私の中に生き続け、私が大事にしてきた戯曲」と語るほどフィリップ氏にとって思い入れのある本作で主演を務めますが、今の心境はいかがですか?

主演に指名してくださって、とても光栄です。稽古もこれからで作品自体まだ深くは読み解けていないと思うのですが、フィリップとは2作目になるので彼の演出を通して、この難作をどこまで掘り下げていけるか、信頼しているフィリップの助言を受けながら、期待に応えていきたいなと思います。

―当時のロシアの生活状況をはじめ数々の普遍的なテーマに触れながら、殺人者の倒錯した精神に入り込んだ心理描写など読み応え満載の原作をどう舞台化されるのかが注目されますね。

誰かのその行動が善か悪かなんてわからない。その人にとって善でも他者から見ると悪かもしれない。フィリップは、この作品のどちらともとれるその考え方に魅了され続けて、7年間も構想していたんだろうなと感じましたし、お客様に分かりやすく楽しんでもらえるような舞台になっていくと思います。原作を読んで「ここは舞台でどうやって表現するんだろう」と思ったシーンをフィリップに質問したのですが、「まだそこは教えられない」と言っていました(笑)。なので、僕も楽しみにしています。

―今回演じられる主人公の青年・ラスコリニコフは、“正義”のためなら人を殺す権利があると考え、殺人を犯してしまうも、その後罪悪感に苦しむという難しい役どころですが。

自分と重ねるところがないので正直難しくて、これから近しい部分を見つけていく作業になると思います。行動にはもちろん共感できませんが、次に何をすべきか考えているときの慌てる様子や、大切な存在として妹を守りたい兄の気持ちなど、人間らしい感情や行動も散りばめられているので、そこにどう自分の気持ちを近づけていくか。稽古でアイディアをもらいながら、いろんなアプローチをしていきたいです。彼(主人公)を信じられないなと思いつつも、どこか憎めない、彼の更生を観客が望んでしまうようなキャラクターにしたいと思っています。

―主人公の心情描写の移り変わりを通して、観る人が自身と向き合い、改めて考えさせられる機会になりそうですね。

そうですね。この作品を通して「何を届けられるだろう」と考えても、その答えは簡単に出てこなくて。「青年が犯してしまった罪、青年の正義とは何なのかというところで周りの登場人物たちも巻き込みながら、その赦しはどこにあるのか、どこに救いを見出だしていくのかを見届けてほしい」という思いはありつつ、それが伝えたいことかと問われるとそうではない気もしていて。以前、フィリップと一緒にやった「地獄のオルフェウス」で、稽古場では感じなかった感情や躍動感、心境が変わるポイントの気づきなど、本番にお客様の力を借りながら発見することが多かったんです。なので、事前のワークショップや稽古でそのヒントを掴みながら、僕自身も本番を通して考えたいなと思います。

僕たちの実体験やその時に芽生えた感情を
見つめてくれるような演出

―フィリップ氏の稽古はどのような雰囲気なのでしょうか?

フィリップは、作品やキャラクター、感情の流れについて、自身の人生経験や感覚で諭してくれることもあるけれども、僕たちの実体験やその時に芽生えた感情を見つめてくれるような演出をしてくれます。そこに流れる時間が本当に心地良くて、彼の話をいつまでも聞いていたいとも思わせてくれます。「地獄のオルフェウス」でご一緒した大竹しのぶさんも「フィリップのおかげで毎日が発見の連続だった」っておっしゃっていました。今回は題材も違い、主演として引っ張っていかないといけない立場でもありますが、皆さんと一緒になって毎日の新たな感情やアイディアを見つけていければいいなと思っています。

―主人公の青年と心を通わせる娼婦ソーニャには3年ぶりの舞台出演となる大島優子さん、その義理の母親カテリーナに麻実れいさん、主人公を追いつめる捜査官ポルフィーリに勝村政信さんと、実力派キャストが勢揃いしますが、初共演の方々ばかりだとか。

皆さん初めてですね。大島さんは(留学からの)帰国後、一発目の仕事としてこの作品を選んでくださったみたいなので嬉しいですし、大島さんがこの役どころをどう表現するのか個人的にもすごく楽しみです。麻実さんとは序盤からピリピリとした関係性ですが、稽古場での過ごし方から芝居について、たくさんのことを学ばせていただきたいと思っています。あと、勝村さんの演技に飲み込まれてしまわないようにしっかりと芝居をぶつけて、そしてしっかりと受け止めて反応できるようにしていきたいです。お客様に「エネルギーの塊を作品全体から感じられた」と言っていただけるように、熱を持って毎日稽古に励みたいと思います。

舞台が日本人にとって近い存在になり
たくさんの若い世代の方にも観ていただけたら

―本作のほか、来年に再演も決定した舞台『キンキーブーツ』でも話題になっていますが、最近は特に舞台に力を入れたいという思いが強いとお聞きしました。

幼少期から地元・茨木の事務所の発表会として舞台に立たせていただいて、その頃から生の舞台の高揚感や爽快感が好きで。19歳からアミューズに入って初めて舞台を踏ませてもらった時に、その感覚と舞台の面白さをまた痛烈に感じたんです。舞台産業が日本人にとってもっと近い存在になって、たくさんの若い世代の方にも観ていただけたら嬉しいなと思って舞台に立っています。もちろん、ドラマや映画にも機会があればチャレンジできるような役どころでどんどん参加できればと思っています。

―舞台と映像では演じ方も異なるかと思いますが、それぞれに活かされている部分はありますか?

声の大きさや表現方法などはやっぱり違います。声色の変化をはじめ、舞台をやっていなかったら出来なかっただろうなと思う考え方やアプローチもあります。後押ししてくれるような環境や周りの人のおかげで、舞台と映像どちらにも携われる俳優になれて良かったなと思いますね。

―主人公は「自分は特別な人間で法を犯す権利がある」という独自の理論を持っていますが、役者人生において三浦さん独自の理論はありますか?

「こうしておけば大丈夫」というルーティーンはあまりないのですが、数年前から一度立ち止まり、心を整えて落ち着かせることの大切さに気づきました。日本における座禅、海外でいうマインドフルネス(瞑想)です。あと、ある先輩が「舞台に立てることが楽しみでしょうがない。生の芝居だからどんなことが起こるか分からないし、毎日違うことが起こる。それに敏感に反応して楽しめる心持ちを作るために、本番直前に舞台袖で笑ってから出て行くんだ」と言っていて、とても素晴らしいアプローチだなと思いました。舞台には神様がいると言われ続けているので、神様に祈ってから出て行くというのが習慣だったのですが、今回は笑顔になってから出て行くというのを取り入れてみたいなと思っています。暗い作品なので、笑顔のまま舞台に出てしまわないように気をつけないといけないですが(笑)。

今までに経験したことがない仕事が多い1年でした

―少し早いですが、2018年の振り返りをお聞きしてもいいですか?

早い!今年初めて聞かれました(笑)!今年は、話題作『銀魂』にゲスト出演させていただいたり、3局またいだWebドラマ「tourist ツーリスト」でバンコク台北ホーチミンで撮影したり、いろんなことに挑戦させていただきました。12月にも面白いことを企画していて、これも大きな挑戦になります。今までに経験したことがない仕事が多い1年でしたね。

―この1年は“挑戦”を目標にされていたのですか?

挑戦は日頃から大事にしていて、今までやったことないものには常に挑戦していきたいと思っています。今回の役どころもそうです。果たしてこの役にリアリティをもって息を吹き込むことができるのかと不安になる瞬間もありますが、フィリップの力を借りながら頑張りたいです。

―来年は三浦さんにとって20代最後の年となりますが、どんな1年にしたいですか?

来年の前半には「罪と罰」、「キンキーブーツ」と舞台が控えているので、まずは「罪と罰」で芝居の基礎から学ぶつもりでフィリップにいろんなことを教えてもらい、そこに食らいついていけることを楽しみにしています。30歳に向けて「どんな俳優になりたいか」というのを考えながら、後半も頑張っていきたいです。20代が終わってしまうのは「もうちょっと時間がほしいな…」という感じですが、30代になった自分が「ちゃんと準備できたね」「いい生き方してきたね」って過去の自分に言えるように、引き続き努力していきたいですね。

出典:Kiss PRESS

f:id:hm-eternally:20220222071131j:plain

f:id:hm-eternally:20220222071137j:plain

f:id:hm-eternally:20220222071144j:plain

f:id:hm-eternally:20220222071150j:plain

f:id:hm-eternally:20220222071156j:plain

f:id:hm-eternally:20220222071203j:plain

 

掲載内容の著作権及び商標権その他知的財産権は、配信元または当該情報の提供元に帰属します。

 

ブログ投稿記事を纏めたライブラリーサイト