軌跡

―三浦春馬さん―

2018-08-09「銀魂2」インタビュー

2018年8月9日 &Mの配信※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

三浦春馬「本人さえも気づいていなかった、心の底にあるものを表現したい」

昨年夏、大ヒットを記録した実写映画『銀魂』がパワーアップして帰ってくる。『銀魂』は現在「週刊少年ジャンプ」に連載中、コミックの累計発行部数が5500万部を突破するSF時代劇コメディー漫画だ。映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』では、真選組最大の危機となる“真選組動乱篇”と、将軍徳川茂茂が登場する“将軍接待篇”が合体したハイブリッドな物語に仕上がっている。今作で真選組を揺るがす重要人物、伊東鴨太郎を演じるのが三浦春馬さん。

念願だった福田雄一監督作品に初参加、原作を忠実に再現した金髪&メガネ姿で撮影に臨み、「映画では殺陣をするのが初めてだった」という現場でのエピソードを語ってくれた。役柄さながらさっそうとクールなたたずまいの三浦さん、しかし伊東鴨太郎役には並々ならぬ思いがあったと振り返る。

新撰組の剣豪ふたりをモデルにした伊東鴨太郎役。「悪役だけど憎み切れない。そのギャップを表現したいと思った」

舞台は幕末、地球人と天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が共に暮らす江戸・かぶき町。万事屋(よろずや)の銀時、新八、神楽がキャバクラや床屋でバイトを始めた矢先、バイト先に将軍徳川茂茂がやってくる。同じ頃、真選組では頭脳明敏な参謀、伊東鴨太郎が帰陣する。真選組副長である土方を敵対視する伊東は、ある野望を秘めていた。冷酷非道に見えるがどこか影を感じさせる男、それが三浦さん演じる伊東鴨太郎だ。

「原作は知っていましたが読んだことがなく、オファーを頂いてから読みました。アニメを見て、台本を読んで、伊東鴨太郎が新撰組芹沢鴨伊東甲子太郎というふたりの武士をモデルに構成されていると知ったんです。実に興味深いキャラクターだと思い、これは絶対やるべきだ! と思い、快く受けさせてもらいました。

鴨太郎は冷酷に見えて、実はせつない過去を持ち合わせている。その経験があって、今の性格が構築されたという背景がとても魅力的。ただの悪役じゃない、憎みきれない悪役なんです。僕自身も感じているそのギャップを、実写だからこそできる微妙な視線の動きや表情、眉間のシワなどで繊細に表現したいと思いました」

監督とは以前から交流があり、念願かなっての福田組初参加。1作目から参加している真選組局長近藤を演じる中村勘九郎さん、土方役の柳楽優弥さん、沖田役の吉沢亮さんとは敵対する役柄だったが、気にすることなく会話し、いい雰囲気で撮影に臨んだそう。
「福田監督とは、僕の所属事務所アミューズが主催するファン感謝祭イベントで初めてお会いしました。その後、福田監督演出の舞台を見せてもらったり、友人との会話で名前が出たり。いつも会う度に『何か一緒にやりたいね』と言ってくれていました。今回初めてご一緒できて、監督の世界観の中で機能できることが純粋にうれしかったです。

現場は、キャストもスタッフもなれ合いではない、いい雰囲気が漂っていましたね。柳楽くんは敵対する役だから『話さないほうがいいかな?』と気を遣ってくれましたが、僕はそういうタイプではないので、気にせずいろいろ話しました。柳楽くんとは実は子役の頃にオーディションで会ったこともあるし、高校も同じで僕が1年後輩なんです。

(中村)勘九郎さんには、歌舞伎界のことをいろいろ聞きましたね。当たり前の質問だけど、『幼少期から稽古を積むんですか?』『腹式呼吸?胸式呼吸ですか?発声法は?』『長唄の練習もするんですか?』とか。伝統は違いますけど、同じ表現者、舞台に立つ者として何か学べるんじゃないかといろいろ質問させてもらいました。吉沢くんは、事務所が同じ。ファンイベントで一緒に作り上げることはやりましたが芝居は初めてで、すごくうれしかったです」

演じてみたいキャラクターは、なんと宇宙生物エリザベス!「困った時にいつも現れてくれる救世主、実は隠れた一番のヒーローです」

演じる上で最も重要視したこと。それは「映画では初めてだった」という殺陣のシーン以上に、伊東鴨太郎という男の人生をどう体現するか。原作やアニメでは描かれなかった、隠された本音や繊細な心のうつろいをどう表現するかだったと言う。

「恥ずかしながら、映画で剣を振るったのは初めてでした。殺陣の練習は4回くらいでしたが、時間をかけてじっくり合同練習しました。殺陣は相手があるもの、その難しさは現場でより強く感じましたね。しかし殺陣はテクニカルな部分であって、より難しかったのは演技の部分ですね」

「鴨太郎が実はずっと憧れていた、かけがえのないものが絆や友情なんです。冷徹な性格の裏で、本人さえも気づいていなかった心の底にあるものが、実は表情には出ていたんじゃないか? それに挑戦してみたいと思い、監督とは何度も打ち合わせさせてもらいました。現場で絵を見ながら、鴨太郎の逡巡(しゅんじゅん)しているような表情を表現したかった。繊細な感情のうつろいをシーンごとにどの程度出していくか、それが演じていて一番面白かったですね」

主人公の坂田銀時演じる小栗旬さん、志村新八に菅田将暉さん、神楽に橋本環奈さん、今作で新たに登場する河上万斉に窪田正孝さんなど、個性あふれる豪華キャストも見逃せない。三浦さんに「伊東鴨太郎以外で魅力を感じるのは? 演じてみたいのは誰?」と聞くと、意外な答えが返って来た。

「惹(ひ)かれるのはエリザベス(笑)! エリザベスは謎の宇宙生物なんですが、困った時にいつも現れる救世主。実は隠れた一番のヒーローなんじゃないかな」

人生で最も大切にしているのが、俳優という仕事。「妥協し続けていると誰も認めてくれない。自分が納得する仕事、その熱意が一番大切だと思う」

今作の隠れたテーマにもなっている友情や絆について。三浦さん自身が、最も絆を感じる相手を聞いてみると、幼少期からの親友という双子の兄弟を挙げてくれた。

「小学5年生からキックボクシングを習っているんですが、その時に新日本キックボクシングの江幡塁、江幡睦という双子の兄弟に出会いました。今でも何かあれば連絡を取り合う仲で、数カ月に1度は会うんです。彼らは今も現役で戦い続けていて、世界一に輝くために日々努力している姿にいつもパワーをもらっています。彼らも、僕の仕事に刺激をもらっているんだって言ってくれて。フィールドは違うけれど、お互いの存在にやる気と活力をもらっているという関係性が、何にも代え難い存在。これが絆と言えるんじゃないかと思います」

現在28歳、4歳から子役としてキャリアをスタートし、芸歴はすでに20年以上。映画やドラマに舞台と活躍の場を広げ、常に第一線で走り続けている三浦さんが、人生で最も大切にしていることは何だろうか?

「自分が納得する仕事、それに対する熱意が一番大切だと思います。そこから友人との関係や絆も生まれている。これからの人生、家族ができたり、その後の友人関係も、自分のやること全てが仕事、働くことに付随していると思うんです。妥協し続けていると誰も認めてくれないし、いい交友関係も生まれない。ちょっとさみしく聞こえちゃうかもしれないけど、仕事が一番かなと思っています。いろんなフィールドで必要とされるような俳優であり続けたいですね」

映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』は、SFと時代劇、ギャグ、人情、アクションと、すみずみまで楽しめる要素が満載。見れば誰もがその世界観に圧倒され、ハマってしまう作品だ。原作ファンや幕末好きはもちろん、前作を見ていない人もすんなり楽しめるところも魅力だ。最後に、三浦さんが映画の見どころとメッセージをくれた。

「『銀魂』そのものが持っているユーモアのセンス、計算し尽くされた笑いと展開の速さ、そこに福田監督のエッセンスが加わって違った面白みがスクリーンに映し出されています。そこに、アクションと[真選組動乱篇]という熱い人間ドラマがドッキングすることで、また極上のエンターテインメントになっています。笑いもあるけど最後にほろりと涙するような、みんなが好きな物語でもある。『この夏、いいもの見ちゃったよね!』と笑顔になれるようなエンターテインメントになったと確信しています。ぜひ一人とは言わず誰かを誘って、劇場にみんなでお越しいただければと思います(笑)」

 

(文・武田由紀子/写真・花田龍之介)

出典:&M

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