軌跡

―三浦春馬さん―

2018-04-27「キンキーブーツ」ビジュアル撮影

2018年4月27日 SPICEの配信※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

小池徹平のチャーリーと三浦春馬のローラが帰ってきた! ミュージカル『キンキーブーツ』再演ビジュアル撮影現場に密着

2019年4月、ミュージカル『キンキーブーツ』が2年ぶりの上演を迎える。倒産寸前の紳士靴工場を継いだチャーリー(小池徹平)がひょんなことで出会ったドラァグクイーンのローラ(三浦春馬)から「ドラァグクイーン用のブーツ」という“セクシーでスリリングな靴”(=キンキーブーツ)を作るきっかけを得て、工場を立て直していこうとする物語。2016年の日本版初演時には心を掻き立てるような華やかでエネルギー溢れる楽曲と共に、人間の生命力を感じさせる小池と三浦の熱演が大きな話題を呼び、特に10cm以上のピンヒールブーツを履いて激しく歌い踊る三浦の衝撃的な姿も注目され、上演会場は連日超満員となった。その超・話題作が帰ってくる。本作のビジュアル撮影が3月、都内スタジオにて行われた。この模様をお届けする。

『キンキーブーツ』の劇中歌が大音量で流れるスタジオにまず登場したのは小池。拍手と口笛、「お帰りなさい!」などの声が溢れる中、上半身はスーツとジャケット、下はトランクスに本作品の“アイコン”でもある真っ赤なブーツを履いた小池は、満面の笑みで撮影の立ち位置に向かった。

まずはチャーリーのソロカットを、ということで小池はカメラマンの指示に応じながら次々とポーズを決め、表情豊かに撮影されていく。初演時のビジュアル撮影とは違い、今はチャーリーのすべてが小池の中に生き、一体化している。それ故、繰り出すポーズや表情もいつしか、舞台中のチャーリー本人を見ているようだった。BGMがメインテーマや小池のソロ曲になると、それにあわせて自然と口ずさんでいる小池。小池の中ではすでに舞台が始まっているようだった。

小池のソロ撮影が終わると、しばしの休憩の後、三浦扮するローラとの2ショット撮影がスタートする。身体のラインを綺麗に見せる鮮やかな赤い衣裳、10㎝超えの真っ赤なピンヒールブーツ、華やかに盛られた髪型で2m近い身長となっているローラこと三浦がスタジオに登場すると、スタッフ一同、再び拍手喝采!「綺麗~♪」「迫力!」という感動の声も聞こえてきた。

小池と三浦がスタンバイすると、スタッフから「こんなポーズを取ってほしい」などの指示が入る。それに従い二人はテンポよく撮影されていく。撮影中にBGMが「RAISE YOU UP」になると三浦は口ずさむだけでなく、サビの振付をその場で小さく披露。三浦の身体の中に2年間眠っていたローラが覚醒したかのようだった。

二人の表情のバランスを付けるため、特にローラの表情にきめ細かいリクエストが飛ぶ。笑顔も自然体のものからカメラの向こうにいる誰かを挑発するような笑い顔、時には変顔まで(笑)。その様子を見ているとローラが三浦であることを忘れてしまいそうになる。

小池、いやチャーリーも、劇中のローラとの関係性が見えるようなポージングを決める。2ショットをより魅力的に作り込むため、時にかなり無茶な体勢を(特に小池に)リクエストされるのだが、笑顔で応える二人。だが、カットがかかると「このヒール履いてるから脚がしんどいよねー」と苦笑しながらお互いを労わっていた。

二人がかなり身体を寄せ合うポーズでは、何かツボに入ったのか、カットがかかった途端に素の小池と三浦に戻って大笑い。初演の稽古スタートから上演、楽日に至るまでの長い期間で培われた二人の距離の近さが垣間見えるようだった。

2ショット後は三浦のソロカットの撮影へ。妖しい魅力を放つ美しき“ドラァグクイーン”をいかに撮るか、スタッフの緊張感がさらに増す。身体のS字ラインをよりなまめかしく撮りたいのか、三浦に上空のバーを両手でつかんでもらい、限界まで身体を斜めにくねらせてもらったり、送風機で髪に風を送るなど細かい工夫が施されていた。カメラマンが「『あんた、アタシを抱きたいの?』くらい挑発するような目線で!」とどんどん煽ると、三浦も柔らかい眼差しから人の心を絡めとるような魔性の微笑みまで、ローラらしい顔を見せていた。

突然、カメラマンが言葉にならない雄たけびを上げる。今撮影したばかりのカットをモニターで確認すると、そこには震えがくるような極上の女優の姿が。これにはスタッフからも感動のどよめきが起き、モニターを覗きにきた三浦も驚きの表情を浮かべていた。

ほぼ半日かけてすべてのビジュアル撮影が終了。スタッフからの拍手の中、三浦も、先にアップしていた小池も満足げな顔でスタッフと握手を交わしていた。

撮影後に小池と三浦に「久しぶりにこの姿で会った感想は?」と聞いたところ、小池は「少し、痩せたよね?」と三浦に振る。三浦も「そうだね。初演の時は役どころのため身体を鍛え上げてたから。7㎏くらい違ってるよ」と返した。小池はそんな三浦の姿を眺めながら「ローラのこの姿、やっぱり懐かしいですね。帰ってきたなって思います。自分の顔を鏡で見ても『チャーリー、お帰り』って気持ちになりました」とコメント、三浦も小池の言葉に同意しつつ、「撮影しながら役がどんどん自分に戻ってきているって感じました」と述べた。

この日、久しぶりに履いた真っ赤なブーツの履き心地について、小池は「保存状態がよくてびっくりしました。ブーツって湿度などに影響されやすいだろうから、この2年間大切に保存していてくれたんだなって」と、“靴工場の社長”ならではの着眼点で語る。「でも自分の身体が2年間でどう変わっているかわからなかったので、ブーツを履いたとき、足がすうっと通ってほっとしました。と共に、2年前はよくこれを履いて踊れていたなと改めて思います(笑)。ブーツを履くと気持ちが昂るんですよね。あの日々が蘇るんです」

三浦は「初演時の1年と言わず、その後も4年、5年、6年……と持つクオリティで僕たちのためだけにこのブーツを作ってくれたんだなって思うと嬉しいです」とスタッフに感謝の気持ちを述べ、「ローラとしての気持ちを上げるだけでなく、(自分自身を)強くしてくれるのがこのブーツですね」と真っ赤なブーツに信頼を寄せていた。

初演時のことを踏まえつつ、今年の再演に向けて意気込みを伺うと、三浦は「(初演時は)とにかく大変でした。ローラはこの作品の台風の目として、またチャーリーは作品の屋台骨で、みんなを支え続けている必要がありましたし。(小池は)舞台裏でもチャーリーのような存在でいてくれたように思います」と振り返る。小池は「(初演は大変だったけど)楽しかったよね!幕が開けてからのお客さんの反応もすごかった。みんな最後は立ち上がっていたし。今回もあの光景が見れるのかなと楽しみにしています!」と語ると、三浦も静かにうなずいていた。

 

取材・文・撮影=こむらさき

出典:SPICE

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