2015年9月16日 音楽ナタリーの配信※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定
以下、配信記事より
C&K×三浦春馬 3人が“きみの言葉”に思うこと
C&Kが9月16日にシングル「キミノ言葉デ」をリリースする。
彼らにとって13枚目のシングルとなる本作は「言葉の持つ力」をテーマにしたミドルチューン。「きみの言葉で」という歌詞の繰り返しとシンプルなサウンドが印象的なナンバーで、作詞作曲を手がけたCLIEVYはこの楽曲について「C&Kの歩みの中で大きな分岐点になる曲」と断言している。
この作品のリリースを記念して、音楽ナタリーではC&Kと三浦春馬に「キミノ言葉デ」について話を聞いた。C&Kの熱心なリスナーであり、メンバーの2人とも親交のある三浦はこのナンバーからどんなメッセージを受け取ったのか。楽曲を紐解く3人の言葉に耳を傾けてほしい。
雷に打たれた
──三浦さんがC&Kを知ったのは、どういったきっかけで?
三浦春馬 C&Kさんと僕、スタイリストさんが同じ方なんです。そのスタイリストさんが「最近すごく面白いミュージックビデオの仕事をしたんだよね」って言って観せてくれたのがC&Kさんの「ジャパンパン~日本全国地元化計画~」のMVで、それを観たときにビビッと来たんです。まさに雷に打たれたような感じ。今までに観たことのないような映像で、感覚的にすごく刺さるものがあったんですよ。そうしたらそのスタイリストさんが「春馬にMVを観せて、こんなに食いついてきたことって今までなかったよね。そんなに気になるなら彼らを紹介したいな」って。それがきっかけです。最初はCLIEVYさんに会って、そこからライブに行かせてもらったりしています。
──ライブを初めて観たときはどんな感想を持ちました?
三浦 期待を裏切らず、すごく楽しかったです。あと、2人はなんと言うか……「これをやったらお客さんはどうなるかな?」っていうようなことをいつもライブの中で試すんですよ(笑)。だからライブに行くたびに「今日は何をしてくれるんだろう?」って楽しみで。
CLIEVY 毎回のライブをスペシャルなものにしたいんですよね。昨日来てくれた人にとっては昨日のライブが一番で、今日来てくれた人には今日のライブが一番……っていうように“毎日がスペシャル”にしたいんです。だから、竹内まりやさんが言ってることはすごくわかるなって。
三浦 僕が行ったときは、最後に撃つはずのバズーカをCLIEVYさんがMC中に撃ったんですよ。「途中のMCで撃ったらどうなるのかなと思った」と言って(笑)。
CLIEVY そしたら盛り上がんなかった。
三浦 いや、僕はあとからじわじわ来ました(笑)。
CLIEVY バズーカは盛り上がるところで撃つもんだっていう先入観をみんな持ってるじゃないですか。でもそれは誰が決めたんだ、っていう話ですよ。「MCが盛り上がったところで撃ってもいいんじゃないの?」って。そう思ってやってみたら、みんなポカーンとしちゃった(笑)。
KEEN だから、僕らのライブは好きになってくれる人とそうでない人がはっきり分かれるとは思います(笑)。もう、極端に振り切っていきたいなって思いながらやってますよ。
──C&Kのお2人は、三浦さんと知り合ったときはどんな印象を抱きましたか?
KEEN 僕らからしたら、春馬くんはスターですから。でも実際会ってみたらすごく人間味があるなって思いましたね。人当たりもいいし、若いのにすごくしっかりしているし。もういい印象しかないですよ。そして何より男前ですから……天は彼に二物も三物も与えましたよね。あと、春馬くんと最初に仕事でご一緒したのは僕らの「みかんハート」のMV撮影だったんですけど、春馬くんの演技をモニターで観ていて鳥肌が立ったのを覚えてます。セリフがない演技だったんですけど、表情1つで表現する技術もそうだし……何より本人が持っているポテンシャルが高いんだなって。
三浦 ありがとうございます。
CLIEVY 出会ってからの数年でも、どんどん大人になっていってるしね。身にまとう空気も変わってきているなって感じますよ。
三浦 直接言われると照れますね(笑)。
いろんなスパイスを提供してくれる
──知り合ってからはコンスタントに会っているんですか?
CLIEVY 最近春馬くん忙しいからね。
三浦 そんなことないですよ(笑)。実はこの間、C&Kさんのライブを観させていただいたんですよ。
──その日はフリーな時間があったからライブへ?
三浦 そうですね。ちょうど「進撃の巨人」のプロモーションの時期ではあったんですが、C&Kさんのライブの日がお休みの日だったので「行っちゃおう!」と。
CLIEVY すごいですよね。忙しいのにありがたいです。こういうところに男らしさを感じますよね。熱い。
──ライブはいかがでしたか?
三浦 やっぱり面白かったですよ。あと、僕がC&Kさんの曲の中でも特に好きな「両腕が翼ならば」を生で聴けたのがすごくうれしくて。これはお2人にも伝えました。
KEEN この曲が好きだっていうのは意外でしたね。
三浦 まさかライブでやってくれるとは思わなくて。「両腕が翼ならば」って、自分の理想像があるとしたら「そこまでちゃんと飛んで行けるからね」って思わせてくれるようなメッセージが伝わってくるから、聴いていてすごく希望を持てるんですよ。「過去の自分が描いていた今の自分はもっと成長していたはずなのに」って漠然とした焦りを抱く瞬間って皆さん経験があると思うんですけど……この歌を聴くと、まっすぐに自分の理想に向かって行けるような気持ちになれるんです。
KEEN 春馬くんのほうがこの曲のよさをわかってるな。俺、こんなにうまく説明できない(笑)。
──三浦さんが思うC&Kの魅力って、どんなところでしょう。
三浦 まずこんなにいろいろなジャンルの曲を歌えるアーティストさんて本当に少ないんじゃないかと思っていて……。しかも、2人はどんな曲も完璧に歌い上げるところが一番の魅力だと思うんです。「うまいなあ」と思いながらいつも聴いています。あと楽曲も大好きです。ふざけてる曲もあれば、本当にグッとくるラブソングもあって。いろんなスパイスを提供してくれる2人はすごいなって思います。
CLIEVY まさにその通りです。
KEEN (笑)。でも本当に、C&Kのいろんな曲でいろんな感情を抱いてほしいなっていうことは僕らが一番考えていることなので、そこはもっと追求していきたいなって思いますね。春馬くんはステージに立つプロフェッショナルでもあるし、ファンの意見とはまた違った視点を持って僕らを観てくれていると思うんですよ。だから春馬くんの意見はとてもためになりますね。
CLIEVY さっき春馬くんが「『両腕が翼ならば』が好き」って言ってくれたけど、人によって好きな曲が全然違うっていうのがC&Kにとっての“正解”なのかなと思っていて。「代表曲のあれが好きです」っていうわけではなくて、みんなの一番がそれぞれ違うほうが、僕たちも曲を作っていてうれしいですね。
オリジナルのストーリーを描ける曲を
──そうして今回「キミノ言葉デ」という楽曲が新たにC&Kのディスコグラフィーに加わりました。三浦さん、このナンバーを聴いた感想を教えてください。
三浦 なんと言うか、いつもとは違う感情を深くえぐられたような気持ちになりました。例えるなら……今まで出会った人、1人ひとりをはっきりと思い出すような感覚というか。その人にいろんな言葉をもらったことでいろんな感情が生まれて、自分は確かにそのときを生きたし、もらった言葉から自分自身について肯定や反省をしてきたし……そう考えると、今の自分を形成しているのは過去の言葉なんだなって思えて。だからすごく刺さりました。しかもミドルテンポの、この曲調で語りかけてくれるから、なんかこう……とにかくすごく心に入ってきました。
KEEN もうすごいっす。こんなことを言えるなんて、春馬くんの感受性がすごい。
三浦 いやあ……。で、最後のほうに「僕の言葉の中できみが息をしてる」っていう歌詞があるんですが、これも「そうだ」と思って。確かに、自分の言葉で相手を傷付ける可能性もあるし、相手を形成していくことだってあるんだよなって。人って誰でも自分本位になっちゃうところが一瞬でもあると思うんです。だけど、周りを気遣って思いやりを持つことができたら誰も傷付けずにいられるのかもっていう反省が生まれたり……。そんなふうに思うと、どんな瞬間だって真剣でいなきゃいけないって、すごく感じました。
──作詞作曲を担当されたCLIEVYさんは、なぜ今この楽曲を世に出そうと思ったんですか?
CLIEVY みんながオリジナルのストーリーを描ける曲が書きたいなと思ったんです。「歌」って、作った人が聴いた人の思い描く絵を限定することもできるんですよね。だけどこの曲は聴いている人が自分の中ですべての物語を作れるような曲。自分はそれぞれの人が抱くイメージを一切邪魔したくなかったから、具体的なことは何1つ伝えない曲にしました。だから、聴いてくれる人にとったら自分のこれまでの歩みがわかる曲になったかなって。過去にすごい苦しみを味わった人にとったら、この歌を聴いて浮かぶ絵が、作った自分以上に壮絶なものになるだろうし、むしろそういう曲であってほしいなって。もう、自分にとっては「この曲が売れなかったら引退だ」ってくらい……この曲を出したらこの世の中に対して僕ができることはこれ以上何もないから、引退宣言をしようかって思えるくらいの曲なんですよ。それくらい、聴いてくれる人の心に向かって勝負を賭けました。
三浦 ちょっと、その発言いても立ってもいられなくなっちゃいますよ! 今「どうしよう、どうしよう」って思っちゃった。……めっちゃ宣伝しよう。辞めてほしくない(笑)。
CLIEVY (笑)。いやあ、辞めるくらいの気持ちで身を削って、今までで一番考えて、余計なものを削ぎ落とした曲であると思っているんですよ。とにかく今は自分のすべてを出し切った状態で、ここからどうやったら自分の思っているまんまの美しい状態でこの曲を世の中に伝えられるかなっていうことを考えてて。とにかく、この曲はC&Kの歩みの中で大きな分岐点になる曲だと思っています。
悪い言葉もあながち悪くない
──CLIEVYさんの書いたこの曲のライナーノーツを読ませていただいたんですが、この曲を作る上で材料にしたものをCLIEVYさんは「記憶の襲撃」と表現されていて。文章の中では馬鹿にされた思い出や悔しかった思い出について触れられていますよね。CLIEVYさんの心の中に残る「言葉」は“いい言葉”より“悪い言葉”のほうが多いのでしょうか?
CLIEVY そうですね。好きなんですよ、マイナスの言葉が。例えば悪い言葉を誰かからかけられたとき、その言葉をそのまま悪い言葉として受け取ってヘコんだら、その場でその言葉は“死ぬ”んです。でもその言葉を「何くそ」っていう思いで受け止めたとしたら、あの人が自分に悪い言葉を向けてくれたからこそ、今こうして奮起するスイッチが入ったんだ、って思えるじゃないですか。そして、そんな思いをもって悪い言葉を“乗り越えられた”ならば、「悪い言葉もあながち悪くないぞ」って。そんな思いがこの曲を作る原点になった感じですね。
──人からもらった言葉をどう解釈するかは自分次第だと。
CLIEVY そうですね。
──また、ライナーノーツの中でCLIEVYさんは「キミノ言葉デ」のことを「自分史上で一番どんな料理にもあうお皿」と紹介されていますね。楽曲のシンプルなサウンドも、この言葉が表現するものの1つかなと思ったんですが、音作りで特にこだわったところはどういったところでしょう?
CLIEVY 楽器を極力減らして、できる限り歌とビートだけで曲を作り上げようっていうことは意識しましたね。一番のベーシックを作りたかったっていう思いがあるかもしれないです。ベーシックであれば、例えばライブでアレンジを加えたりもできるのでね。
──メロディはすぐに完成したんですか?
CLIEVY 3、4年前にサビだけできていたんですよ。原付バイクに乗っていたときに、サビのメロディと歌詞だけがそっくりそのまま思い浮かんで。だけどAメロBメロって呼ばれるところがずっとしっくりこなかった。運命の人同士が出会うように、「このメロディには絶対この歌詞しかない」ってくらいにメロディと歌詞がハマってる曲がいい歌だと僕は思っているんですけど、AメロBメロはそうではない状態がずっと続いていたんですよ。でも今のタイミングで、ようやく“出会えた”んですよね。
──そうして曲が完成したんですね。今こうして三浦さんからの反応を受け止めて、CLIEVYさんはどんな思いを抱きましたか?
CLIEVY もう、これからも春馬くんだけの“料理”を盛り付けていってほしいですよね。僕が史上最強だと思っているこのお皿自体はずっと変わらないけど、この先春馬くんの盛り付ける“料理”はどんどん変わっていくと思うし。「納豆だけこの皿に乗せるのもオシャレだな」とか思うようになるかもしれない。
三浦 あはははは(笑)。
KEEN 10年後に春馬くんがこの曲を聴いたときは、まったく違った“料理”が乗っていることを期待したいですよね。
──三浦さんには、過去に誰かからもらって心に残っているような大事な言葉はありますか?
三浦 なんだろう……。「戦わなければ誰も応援してくれない」って言葉ですかね。去年ある人に言われた言葉です。
──それは三浦さんが役者として受け止めた言葉?
三浦 いや、1人の人間として受け止めた言葉ですね。でも、このほかにもいっぱいあると思います。
──三浦さんは「言葉」に対して、どんな思いを持っていますか?
三浦 「いかようにもなるもの」として捉えていますね。人を傷付けることだって温めることだってできる……。どんな可能性もあるから、扱うのはとても難しいですよね。
GOLDSHIP
──ちなみにこの曲には「GOLDSHIP」という英題が付いていますが、なぜ「GOLDSHIP」なんですか?
CLIEVY これは僕の大好きな馬の名前ですね。僕、ゴールドシップという馬に出会って競馬が好きになったんですよ。ゴールドシップはすごい強い馬なんですけど、走りが土臭くてひねくれてる。3連覇が懸かった宝塚記念の発馬で出遅れて、15着になっちゃったりとかする。でもそのレースを観て、自分は「すごいなこの馬は」って思っちゃったんですよね。もっと好きになっちゃった。なんかもう、勝手に感情移入しすぎて涙が出てきちゃったんですよ(笑)。で、そのゴールドシップが今年の有馬記念をもって引退することを宣言してるんです。だから、もともと仮タイトルだった「GOLDSHIP」をどうしても英題にしたいと思って。
三浦 プライベートで1度も行ったことないな。いつか行ってみたいです。
CLIEVY 東京の競馬場に春馬くんがいたら大変かもな。尼崎の競馬場とかだったら絶対にバレないと思う(笑)。
KEEN おじちゃんおばちゃんしかいないからな(笑)。
──それではそろそろお時間なので、伝えたいことなどあれば。
CLIEVY 僕らは春馬くんのファンでもあるから、春馬くんが世界を股にかけて活躍してくれるのがうれしいんですよ。僕らももっと活躍の場を広げていきたいし、お互いもっと大きくなったところで一緒に何かやれたらいいね。仕事人としても友達としても、大きくなって行こうぜっていうね。
──9月19日には三浦さんが主演されている映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」が公開されますね。
三浦 はい。映画を多くの人に観て頂けるように、今はいろんな所を回っています。日本だけでなく香港にも行くので、海外の人にも幅広く観ていただけたらうれしいです。がんばります! あと「キミノ言葉デ」をたくさんの方に聴いてもらえるように、どこかで音楽の話が出たら絶対曲名を言います!
──曲のほうの宣伝も(笑)。
三浦 もちろんしますよ!
CLIEVY・KEEN ありがとう!(笑)
三浦 いつか絶対、2人に自分が出たドラマの主題歌を歌ってほしいんですよね。
CLIEVY・KEEN それやりたいなあー!
取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 佐藤類
出典:音楽ナタリー
スタイリスト(三浦春馬) / 柴田圭 ヘアメイク(三浦春馬) / MIZUHO
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