軌跡

―三浦春馬さん―

2015-08-08「進撃の巨人」インタビュー

2015年8月8日 Omosan STREETの配信※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

三浦春馬インタビュー

「何ですかね…。でも、物心ついた時から、芝居はそばにあるのが当たり前の存在だったんです。
子役の時も、現場に行って芝居をすることが楽しかったと思いますし、だから続けているんだろうなと思います。」

本誌の撮影を終え、休む間もなくインタビューにこたえた、俳優 三浦春馬
4歳の頃、子役デビューからはじまり、俳優として今年で18年。物心ついた時には、当たり前のように彼の人生には、俳優の仕事があった。

「今まで当たり前のように俳優という仕事は自分の中にありましたし、僕にはこれしか出来ないと思っていました。」

十代の頃、どんな職業に就くか、選択肢はあったのではないだろうか。何故、俳優しかない、そう思ったのだろう。
「他のことに、あまり興味がなかった。」と短い一言が返って来た。そして18年をこう振り返った。

「本当に色々な仕事をさせていただくなかで、色々なことを経験させていただいた18年だったんじゃないかなと思います。」

多くの経験をした18年、仕事での印象深い苦労について、とてもシンプルな返事が返って来た。

「台詞を覚えるのが苦手なので、毎回台詞覚えは大変だなって思います。」

質問を重ねる度に、シンプルに短い言葉に返ってくる。本誌のカバー、巻頭の撮影で、クリエイティブディレクターの要望に迷うことなくポージング、アクションを決める三浦春馬は、ドラマや映画、舞台で魅せる、瞳の強さ、美しさ、溢れ出すエナジーをのぞかせていた。
今回の巻頭では、観る者を惹きつける、三浦春馬という役者の真の姿に迫りたくインタビューを始めたが、我々の質問について意外にもライトに、シンプルにこたえる姿に、ギャップの様なものを感じた。
だからこそ、なお、三浦春馬を突き動かすものは何か、我々はますます知りたくなった。多くない質問の返答から、彼の思考、彼のスタイルが見えてきた。

幼い頃から、当たり前にあった役者という道。
歩み続ける彼の思考から、役者 三浦春馬の“美学”を感じたインタビューだった。

「普段は物静かだと思います。」三浦春馬は、自身の性格について一言で語った。

「短気では決してないです。どちらかと言うと、穏やかな方だと思う。あんまり怒らないですし。」

穏やかという表現に驚き、好奇心は強い方か尋ねてみると「好奇心はすごくあります。」と返事が返って来た。
「最近の方が以前より強いです。」と静かにこたえてくれた。
色々な役、様々な現場、体力も精神的にもハードな日々が続く、演じるという仕事。
自分に帰るような、スイッチの切り替えについて尋ねた。

「最近、スーパー銭湯に行くことが自分の中で気分転換になっています。」と、迷わずこたえた。
そして最近興味を持っているのは、“ボルダリング”。

ボルダリングって、体ひとつで愉しめちゃうし、自分の重さを支えるだけで鍛えられるっていうのは凄く良いなって思うんです。この間、初めて室内ではなく、外の自然の岩を登ったんです。そしたら、室内でやるボルダリングとは全然違って、かなり難しかったんです。ただ、そこを登り切った時は凄く達成感があったし、凄く気持ち良かったですよ。」

目を輝かせて夢中に話す姿は、25歳の若者だ。
ボルダリングの魅力を、シンプルにわかりやすく話す言葉から、彼の視点、物事の捉え方が、シャープにさえ感じる。

さらに、時間があるときに出かける表参道の印象について、こう語った。

「どうなんですかね。凄く紳士的なイメージがあります外国の方もよくいらっしゃるし、表参道ヒルズもある。クリスマスの時には、街路樹にとても綺麗なイルミネーションもあって…。もちろん街並みも凄くキレイなんですが、人の多さも目立ちますよね。でも、それが嫌な人の多さではないところがすごくいいと思います。
遠くから坂を見ると、うわぁって思ってしまうほど沢山の人がいるんですが、決してその中に入って行きたくないなっていう感じではない。“人ごみ”って言う感じがしないんです。不思議ですよね。」

本誌はこれまで、様々な俳優に表参道の印象を質問してきたが、観たままの印象だけでなく、さらにその魅力を視覚的に分析している表現は、三浦春馬がはじめて。そして続けて彼はこう話した。

「もっと言うと、あそこは道が入り組んでいる訳ではなくて、道がシンプルですよね。あっち行く人と、こっち行く人が、二分されていてわかりやすい。少し奥に入ると多少入り組んでいるかもしれませんが、規則正しく動いている印象が僕の中にあるからそう感じるのかもしれません。」

動きやヴィジュアルの印象をそう洞察する。彼の視点だ。

そして、今年8月1日、9月19日と連続公開の映画で主演を務めた『進撃の巨人』(東宝)についての話になると、より彼の視点が熱を持って伝わってきた。

別冊少年マガジン」にて連載が開始されるや否や、予測不能なストーリー展開が世界中に衝撃を与え、累計発行部数は5000万部を突破している漫画「進撃の巨人」が、実写化された映画の主演を三浦春馬は務めた。
巨人たちの餌となり絶滅の危機に瀕し、生き残った人々は、巨人から身を守るために巨大な壁を築き生き延び、再び巨人たちに立ち向かう、ストーリー、映像が衝撃の連続の本作品について、演じることで感じた思いを語ってくれた。

「映画版では、巨人の肌質や表情などをリアルに表現しています。そういった部分で、原作やアニメとはまた違った不気味さや恐怖を味わっていただけるんじゃないかと思います。
なので、漫画やアニメとは違う感覚で、作品の世界観を受け取って頂けたら嬉しいですし、エンターテインメント性に長けた、素晴らしい映画になっていると思います。」

この「進撃の巨人」に出てくる“巨大な壁”が、ストーリーの中でも象徴的な意味をもたらしている。
その“壁”について、三浦春馬はこう語った。

「この映画を観て、“あぁ何か凄い映像だったねー”って思ったり、夏休みの思い出作りにしていただければ凄くうれしいんですが、普段僕達が生きてきて、自分の中の“壁”って何だろうとか、自分の中の“巨人”って何だろうということを自分の生活に置き換えて考えた時に、また違った楽しみ方ができるんじゃないかと思います。
こうして映画で、『進撃の巨人』に関わるなかで僕が思ったのは、多分人それぞれに壁があって、それは年齢によって変化していくものだと思うんです。

例えば小学生の場合、多くの時間を過ごすのが学校の中、クラスの中で、その中だけが世界の全てになりがちだと思うんです。でも、外には自分たちが知らない世界が広がっているわけで…。進学していく中で、どんどんコミュニティーは広がっていくと思うんですが、小学生の頃だと自分で壁を壊す術をまだ知らないから、何かのきっかけで壁を壊すことが出来れば、もっと色々な考え方や、感受性が生まれるんじゃないかって思うんです。

そんなふうにこの映画が、人それぞれが感じる壁に対して考えるきっかけの一つになってくれれば嬉しいです。
この映画は、普遍的なテーマを凄くエンターテインメントにしているものなんだと感じます。そういったことも踏まえて、“自分の壁って何だろう?”とか、“もう少し高いところから、俯瞰して見ても良いのかな”って、自分の今いる現状を見直してみる。違った角度から物事を捉えることもたまには良いよねって、そういう観点が生まれたら、出演者として凄く嬉しいです。」

想いが溢れ出すかのように、ノンストップで語ってくれた。役を演じ切ることで、彼の心に育まれた想いは揺るぎなく聞こえる。そして、彼の在り方が感じられるエピソードを続けてこう語った。

「この映画は世界遺産に登録されるかもしれない頃の軍艦島でクランクインだったのですが、実際に軍艦島に降りてみると、本当に凄かったです。建物が山に沿って造られていて、通路もかなり狭く、複雑な構造をしていました。住んでいる方がいた当時は、かなりの斬新な構造だったとうかがって、そういうアイディアが沢山詰まった島でもあるんです。
また、島の中には当時の生活の痕跡みたいなものがあって、当時住んでいた方たちのエネルギーがまだそこに残っているような気がして凄く気持ちが引き締まりました。
観光客の方が入れないような場所で撮影をさせてもらったのですが、上を見上げると鉄の棒の先にコンクリートがただぶら下がっているような危険な場所が、いくつもあったんです。足下も悪く、本番以外はヘルメットを被っていなければいけないっていう規制のあるなかで、撮影させていただきました。
そういう緊張感もあってか、自分の意識を、しっかり“この地で撮影をさせてもらいます”という思いで、地に足をしっかりつけて撮影に臨まないと、この撮影乗り切れないんじゃないかって、そういう想いにさせてもらいました。
気持ちがとても引き締まったし、やはり凄いパワーを持った島だなと思いました。」

仕事への姿勢はもちろん、考察力が彼の一言、一言から伝わってくる。
そして仕事の現場では、とにかくより礼儀正しくありたいと三浦春馬は言う。

「現場では特に挨拶から一日が始まります。
“お疲れ様”と言うことや、感謝するなどの基本を忘れずに、頑張っていけたら良いなと思います。」

子役から始まった役者という仕事、三浦春馬にとって、その仕事の魅力は何なのか聞いてみると、迷わずこう語った。

「魅力といっていいのかはわからないですが、役者のお仕事は芝居を通じて、色々な職業や生活を体験出来たり、取り上げるテーマについて調べるきっかけがとても多いんです。
例えば、消防士や救急隊員、医療関係の人達の働いている“想い”だったりとか、どういう信念を持って仕事を進めているのかということもきちんと理解して、きちんと感じた上で仕事に、芝居で表現していけたら、人としても成長出来るのかなと思っています。パワーももらえそうですし。
様々な職業の役柄を通して、その職業や働く人達がどういう悩みや困難を抱えているのかということも含めてみていけたら、凄く良いんじゃなかと思えるようになったんです。
それ自体も有り難いと思いますね。」

25歳の三浦春馬、いわゆる“ゆとり世代”と言われる年代に入るようだが、世間で言うゆとり世代像とは全く違う、関係ない生き方をしてきたのだろう。
大人社会で子供の頃から学んできたからこそ、仕事を通して学べること、そしてそれが彼自身の成長に大きな影響を与えてくれることに、心から有り難い環境だと感じているようだ。そんな彼にとっての“壁”は、何なのだろう。

「何か凄くありきたりな言葉になってしまうんですが、やはり最大の壁は自分自身だなと思います。それは、“思考の壁”かもしれないし、枠に捕らわれずに大きく考えることかもしれないし、それを破壊することかもしれません。
何かに傾倒する時間があっても良いのかなとも思います。」

三浦春馬が魅せる、芝居から伝わる“熱”は、彼のこの思考があるからこそだと思わせる言葉だった。

「大変な時や自分が挫折しそうな時に、自分を支えてくれるのは人だと感じるんです。もちろん自分自身強くなりたいっていう気持ちもわかります。でも、仕事をするにしても、遊ぶにしても、全部人との関係性のなかで成立することなので…。
出会う人を大切にすることを心掛けていきたいと、最近特に思います。
人と人との繋がりは、何にも変えられないものなので、そこは大切にしたいです。」

役を演じる、人を演じているからこそ、人とは何か、人は人との繋がりで存在出来ること感じているように思えた。
そんな三浦春馬の原動力とは何か?すると彼はハッキリこたえた。

「原動力!?原動力は教えられないですね。それは色々あるので教えられないです。」

この言葉は、三浦春馬の美学が込められているかのような印象的なものだった。彼の思考の壁は、きっとどんどん変わってゆくのだろう。そして、その壁を壊し続け、求め続け、役者 三浦春馬として居続けるのだろう。

最後に彼は笑顔で「目の前の作品に精一杯向き合っていくだけだと思います。頑張ります!」と語ってインタビューを締めくくった。三浦春馬の美学、三浦春馬の芝居は、この先も観る人を惹きつけ続けるのだろう。

出典:Omosan STREET

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