軌跡

―三浦春馬さん―

2015-04-30 「地獄のオルフェウス」インタビュー

2015年4月30日 オモシィの配信※ブログ投稿日は、実際の配信日で設定

 

以下、配信記事より

INTERVIEW! 『地獄のオルフェウス三浦春馬さん

テネシー・ウィリアムズの傑作戯曲『地獄のオルフェウス』が5月7日からBunkamuraシアターコクーンにて上演されます。愛に飢えた主人公レイディ・トーランスを演じるのは大竹しのぶさん。彼女の前に現れる青年ヴァルを三浦春馬さんが演じます。今回は、大竹しのぶさんの相手役として、初のストレートプレイに挑戦する三浦春馬さんにお話を伺いました。

――初めてのストレートプレイ作品となる『地獄のオルフェウス』、ご出演が決まられたときの思いは?

「純粋にうれしかったです。ストレートプレイに初挑戦させていただくということもそうですが、大先輩の大竹しのぶさんと芝居をご一緒できるということが、とにかくうれしかったです。技術面だったり、学ぶべきことがたくさんあると思うのですが、大竹しのぶさんが重ねてきた人生だったり、日頃考えていることだったりを、そういう存在そのもので醸し出されている重厚感みたいなものを稽古を通して感じていけたらと、思っています」

――今回演じられるヴァルという役をどう捉え、どう演じていきたいと思っていますか?

「まず、彼が持っている哲学や、彼が放つ言葉の中に含まれている意味について考えてみたい、感じたいと思っています。ある言葉を発していてもそれは本当に彼がそう思って言っているのか、果たしてこれは彼自身の中から生まれてきた言葉なのか、誰かから聞いた話を話してるのか…などいろいろな考え方ができるし、いろいろな解釈の仕方ができると思うんです。まだまだ気付けていない部分はたくさんあると思うんですけど、時間をかけてじっくり考えたいですね。まぁ、そんなことばかり考えてたら頭の中がごちゃごちゃになりそうなんですけど(笑)。でも、そういったことを考えるのが楽しいな、と思わせてくれる戯曲なんですよね」

――確かに、ヴァルと大竹さん演じるレイディの会話は読み込めば読み込むだけいろいろな捉え方ができそうですね。

「本当に読むたびに面白いなと感じる戯曲です。例えば、レイディが持っている“自分を証明したい”という欲望も、見方によってはすごくカッコ良く思う人もいると思うし、せつないな、かわいそうだなと思う人もいるかもしれない。いろんな見方ができると思うんです。そういったいろいろな見方をしていただけるようなものにするにはどうすればいいのか、ということを演出家のフィリップ・ブリーンさんや共演者のみなさんとディスカッションし、深めていければと思っています」

――「考えることが楽しい戯曲」というお話がありましたし、「考えたい」という言葉もありましたが、それはこれまでの作品とはまた違う感覚ですか?

「もちろん、“考えたい”という気持ちはこれまでの作品でもありましたし、役や作品について考えるのは好きなんです。でも、今回は考えたうえでそれを届けるにはどうしたらいいのか、という部分に関して、例えば、発声方法ひとつとっても、こういう感じ、こういうアイデアをやってみようと、どんどん考えていきたいなというのはあります。やってみないとわからないところがあるので、未知の部分も大きいのですが…」

――稽古で確認していく部分?

「僕自身相手のセリフを聞いてどう思うか、相手がこうきたら自分はこうしよう、というのは瞬時にできるかもしれないし、できないかもしれない…。今の自分だったらどういうふうに受け止めるんだろうって考えちゃいますね。もちろん準備をしなくてはいけない部分も大きいですし」

――真摯な姿勢ですよね。経験値の中で上手く乗り切るというのではなく、正面から向き合っているという感じがします。

「稽古期間を1ヶ月用意していただいてるので、その期間、作品と向き合う時間はとても楽しみですね。今回、 稽古を通じて、“あ、そういう考え方もあるんだ”と、いろいろな感覚の発見があるんです。今回の自分に期待していることは上手く演じることではなくて、発見することへの期待。“そういう技術があるのか!”とか、“そういう気持ち、そういう時代背景があってそうなるのか!”などを学べることが楽しみでもあります」

――ちなみに、三浦さんはこれまでの舞台出演の時、こんな準備をするとか、ルーティンで決めていることがある、というのはありますか?

「一つ挙げるとすると、寝ない(笑)」

――どういうことですか(笑)?

「“寝ない”っていうのは、1日に昼公演と夜公演があるとしたら、その間の時間は寝ないってことです(笑)。もちろん役者さんによっては寝てゆっくり休むっていう方もいると思うんですけど、僕の場合は、どうしても寝たくないんです」

――1回スイッチ切っちゃう、というような?

「そうですね。それが怖いし、滑舌がまわらなくなるかも、というのもあって。…でも、もしかしたらわからないですよ、今回は寝るかもしれない(笑)」

――それくらい何が起こるかわからない(笑)。

「新しい挑戦なので」

――では、『地獄のオルフェウス』を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

「まだ自分の中で到達しているわけではないので、核心的なことは言えないのですが、この『地獄のオルフェウス』という作品は、自分が何にすがるのかとか、自分が何を信じてきたんだろうとか、今までの自分の生き方を含め、自分の現状を、登場人物たちに重ねて観ていただけたらすごくおもしろいんじゃないかなって思います。だからそのために、来てくださるお客様に楽しんでいただける舞台になるように頑張りますし、僕自身も自分のこれまでの生き方を含めて、現状を重ねながら演じることで、何か発見できることもあるだろうと思っていて、この戯曲とともに勉強していけたらと思っています」

 

(文/田部井徹、撮影/熊谷仁男)

出典:オモシィ

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