軌跡

―三浦春馬さん―

2014-01-06「僕のいた時間」インタビュー

2014年1月6日 Yahoo!テレビ.Gガイドの配信
※配信元の記事は削除済です
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以下、配信記事より

「僕のいた時間」三浦春馬 SPECIAL INTERVIEW

筋肉が徐々に衰えていき、やがて死に至る(人工呼吸器の装着による延命は可能)という病(ALS)。本作「僕のいた時間」では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵され、立ち向かっていく青年・澤田拓人を三浦春馬が演じる。命の大切さとは? 自分らしく生きるとは? 三浦本人から発信されたこの物語を、「僕の生きる道」「フリーター、家を買う。」などを手掛けた脚本家・橋部敦子氏が感動的に描いたヒューマンドラマ。拓人役を演じるにあたり、三浦は「自分を追い込み、虐め抜く必要があるかもしれない」と語る。

■自ら発案したテーマが作品になるのは初めて

Q:この作品は、三浦さんの発案からスタートしたと聞いております。ALSという難病を知ったきっかけや、命という大きなテーマをやってみたいと思われた理由、実現に至るまでの経緯を教えてください。

テレビで、あるドキュメンタリー番組を見たんです。ALSに侵された母親を家族で支える姿が描かれていて、画面に映し出される家族の感情の揺れ動きに胸が締め付けられました。家族全体が希望を持って、前へ前へと進んでいく姿に感銘を受け、この題材をお借りしたら、僕の中の今まで出てこなかった感情や表現が見つかるのではないか…と純粋に興味を持ったことが始まりです。

Q:それはいつ頃のお話ですか?

「ラスト・シンデレラ」というドラマを演じていた時ですから、1年と少し前ですね。21歳を過ぎた頃から、「いろんな役をやりたい」と思うようになりまして。僕という役者が、さまざまな役柄を演じられることをアピールしたいという切迫感に似た思いと言いますか。そんな時に、この“命”というテーマが僕の心を占めたんですね。これまでにドラマで、病に侵された上で未来を考えていくという役どころは演じたことがなく、当時のスタッフにこのテーマの話をしたところ、興味を持って頂き、実現しました。自らの語りかけでここまで大きな作品が動いたのは、初めての体験です。

Q:そして、拓人という役を得ました。拓人は就職活動に悩む青年で、やがてALSを発症します。彼は非常に女性にモテるキャラクターですが、最初から、どこか寂しさのようなものをもっていますね。

はい。彼は父が中堅の病院を経営していて、裕福な家庭に生まれてはいるのですが、親の愛情が自分にではなく、弟に集中していることで人と深く関わることを恐れているんです。だから、友人や先輩、そして恋人とも真っ直ぐ向き合って来られなかった。愛する人からの愛情が弟へと分散していったことがトラウマになり、自分が好きになっても、その対象からの愛情が自分に注がれないのが怖いんですね。だからどこか人との付き合いが希薄なんです。

Q:なるほど。難しい役柄ですが、やりがいがありそうですね。

そう思っています! 橋部さんの脚本が、そのセリフをなぜその登場人物が言ったのかイメージしやすく、さらにキャラクターを彫り込む想像力まで与えてくれているんです。これからの日々を拓人という人物に向けて思いを込められることや、新たなチャレンジに気持ちが引きしまる思いです。

■役者としてだけではなく、人間としても成長がしたい

Q:具体的にどのように役作りをされているのですか?

実際にALSの患者さんにお会いして、状況や状態を拝見させて頂くよう計画を立ててもらっています。でも、まだ少し先の話です。

Q:今ではなく? 何故、その計画を少し先に伸ばしたのでしょう?

気持ちが引っ張られすぎるからです。この物語は、拓人が就職活動に奮闘しているところから始まります。そのパートでは、仕事を得る難しさだったり、「あいつは内定したのに…」という友人とのしがらみ、また恋愛模様などの日常生活が描かれています。最初にALSの患者さんにお会いしてしまうと、日常の拓人のお芝居の中に、命と向き合う辛さが反映される恐れがある。大学生・拓人の日常をしっかり描くことが重要ですから、発症前と発症後でしっかりお芝居を分けたかった。

Q:でも、ALSの知識は、すでに頭に入っている。

資料に目を通したり、いろんな患者さんのブログを読んでいます。

■自分を虐め抜いた先にある希望を見てみたい

Q:今後の役者活動の上でも重要な作品となりそうですね。

ハードルはかなり高い。衰弱していく役柄ですから当然、見た目もそれに合わせて変えていかなければいけない。さらに非常に深刻な病を扱うものであり、また自身が発案ということもあって、プレッシャーも大きい。ですが、素敵な共演者にも恵まれましたので。

Q:拓人と親しくなるヒロイン役を多部未華子さんが演じますね。多部さんとは映画「君に届け」で共演もされています。

そうなんです。多部さんは――僕なんかが軽々しく言えることではないのですが――、セリフのやり取りをする上で、心から感動したり、やりがいを感じたり、そこでしか生まれない感情やアイデアを与えてくれる方なので、とても安心させてもらっています。

Q:役者として、自身を追い込んでいく環境は整っていますね!

はい。共演者の方々やスタッフの方々に支えられながら、辛い状況、気持ちを重ねていった先に何があるのか。そのためには、これまでの僕の辛い記憶を掘り返して、自分を虐め抜いていく作業も厭いません。辛さで精神的に疲弊することで、それが役柄としていい感情に繋がるのであれば、どんどんやっていきたい。自分の見たことがない表現や表情を見つけていきたい。

Q:心も体も疲弊していくと、冬の現場では体調をくずしやすくなりますね。

実はすごい寒がりで。太ってはいけない役だから、物理的にいつもより寒い冬になりそうです。避けられない戦いは、まずは寒さにあるかもしれません(笑)。

Q:いろんな意味で、新たな三浦春馬さんが見られそうな気がしてきました。

ちょうど新年の始まると同時に本作が始まりますが、どんな状態でも、人との関わりを大切にしていこうと思って頂ける作品になっていると思います。普段そこにある希望や友情、そして愛情は、決して当たり前ではない。日頃の支えに、心から感謝していなかったかもしれない会話のやり取りに感謝できるよう、僕も自らの心の闇に取り組んでいきますので、ぜひ見てください!

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インタビューに真剣な表情で答える三浦からは相当な覚悟が見て取れた。現場でも、自身の役柄について監督と念入りに打ち合わせをする姿がよく見掛けられる。クランクイン現場では、拓人が持つ手帳や腕時計といった小物1つについても熟考を繰り返す。いつも以上の試行錯誤を繰り返す、この覚悟の先に彼は何を見るのか? 三浦春馬という役者の新たな船出を共に見守りたい。
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取材・文:衣輪晋一/撮影:島田香

出典:Yahoo!テレビ.Gガイド

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