軌跡

―三浦春馬さん―

2010-09-01「君に届け」インタビュー

2010年9月1日 FLYING POSTMAN PRESSの配信
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以下、配信記事より

 

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今の時代が忘れかけていた真っ直ぐでピュアなストーリーが、世代や性別を越えて支持されている『君に届け』。ファンの期待を集めての映画化となった今作で、ヒロインの相手役となる、絵に描いたように明るくて爽やかなキャラクター・風早翔太を演じた三浦春馬。だが、本当の彼は…? 映画への想いと共に、本人に直撃した。

——風早くんを演じるにあたって、何か意識していたことは?

「“風が吹いたら、きっとサラサラと髪がなびくんだろうな”っていうイメージがあったので、撮影期間中はいつもと違って髪のケアに気を遣いました。それが映像に表れているかは分からないですが…そこを意識していましたね。あとは、アニメの世界観とは変えたいなと思ったので、衣装合わせの時から「このシーンは、こういう色の服が良いです」って意見を言ったりもしました。見た目のことに関しては、できることから少しずつ意識していたつもりです」

——台本を初めて読んだ時は、どんな印象でした?

「アニメも漫画も観ていたので、話の流れは分かっていたんです。だから、アニメや漫画にはあった行動やセリフが、映画ではないんだなって思ったりしていましたね。“あのシーン、映画になくて良いのかな? 観ている人はすごく喜ぶシーンのひとつなのに…”って。でも、生身の人間が言うと不自然になってしまうようなセリフもあったりしますから、それは仕方ないですよね」

——風早くんって、中高生にとっても、大人の女性にとっても“付き合いたい”って思われるようなファンの多いキャラクターだと思うのですが、そういう男の子を演じることへのプレッシャーはありましたか?

「あったんじゃないですかねぇ…あんまり感じていないんですけど。絶対無理だし、風早くんみたいなの。でもやっぱり僕自身もこの作品が好きだし、映画をやるからには(原作のファンにも)好きになって欲しいから、すごく気にはしましたよ。作品を良く見せるため、“風早くんっぽいな”って思ってもらうために、撮影現場の栃木にもコミックを持って行って、“このシーンでは、こういう顔してるんだ”って参考にしながら、撮影に臨んだりもしましたし。台本に“ニコニコポイント”を付けたりもしました」

——ニコニコポイント?

「ここで笑ったら良いんだなっていうところ。彼はやっぱり笑顔が特徴というか、それが良いところだと思うから」

——表情は、鏡を見て練習したりもしました?

「僕、“くしゃ”って笑うと目が細くなるんで、見えないんですよ(笑)。“ニコッ”って笑うのは鏡でも見ますよ。でも、“くしゃっと笑うんだろうな”って時に、鏡で見ようとしても多分見えない」

——少なからず、三浦さん自身へのイメージと風早くんへのイメージに似ているところがあって、今回の出演に繋がったと思うのですが、そんな風に世間から思われることへは、どう感じていますか?

「すっごくうれしいです。それはマイナスなことではないと思うので。ただ、(風早くんと自分は)似てない! (自分は)そんなに爽やかじゃないですよ」

——では、“似てない”(笑)というキャラクターでピュアな物語を演じてみて、恋愛に対する考え方が変わったりはしました?

「まだ気付けていないです。結構、一目惚れすることが多い方なので、あんまり変化が分からないのかも。ただ、(爽子と風早くんに)憧れる気持ちはあります。まず第一に相手の気持ちを考え合うふたり、みたいな。そういう気持ちや思いやりって大切だねってことは、改めて考えさせられました」

「(風早くんと自分は)似てない! (自分は)そんなに爽やかじゃないよ」

——爽子を始めとする登場人物たちは皆、個性豊かですが、それぞれどんなキャラクターか教えてもらえますか?

「うーん…まず風早は、すごく爽やかなんだけど、ちょっと男っぽくて頑固。優しい性格の中にも、すごく我が強いところがある。自分の言ったことが真実というか“間違っていない、突き通したい”と思っている男の子だと思う。それは原作者の椎名先生に言われて、すごく納得したことですね。…爽子はとにかく不器用で、すごくロマンチストだ思います。そういうところが、僕はすごく好きですね。“一日一善”をモットーにしているので、とても心優しい子だとも思うし」

——メインのふたり以外のキャラクターはいかがでしょう?

「千鶴は…頑固な女の子。でも、あんな風に男も負かしちゃうような強気な性格だけど、“やっぱり女性だったんだな”って思わされるところももち合わせているので、魅力的だと思いますね。…あやねは、一歩引いて、周りをよく観察できる女性。極端な話、皆のお母さん的というか、良き道に導いてくれるような存在だと思う。大人で、色気のある女性だと思いますね。あとは…龍か。龍は、何も言わずに周りを見ているけど、彼は無駄な動きをひとつもしない感じがする。何人かで話している時に、いきなり言ったひと言がすごく的を得ているイメージというか。核心的なことを言ってくれる、不思議な存在だと思うんです。ちなみに、多部さんはそんな龍が好きらしいです」

——へぇ! ちょっと納得です。では、くるみは?

「くるみは…僕、正直あんまり分かんないんですよね。何かしら風早がからんでいるので、くるみちゃんの素の部分っていうのをあんまり見られていないんです。ただ、“好き”っていうだけで、意地悪をしてしまったり、そういう気持ちを生んでしまうのはすごくよく分かるので、攻めきれないなとは思う。そんなかわいい女の子です」

——ありがとうございました。途中で多部さんのお話が出ましたが、彼女との共演はいかがでした?

「彼女は天才…って言うとあれだけど、そっち寄りなんですよね。カチンコがなった瞬間に、自分の集中力を極限までもっていける人。僕は良い状況にもっていくまでにちょっと時間がいるから、すごいなと思いますね。アフレコや芝居を見ていて、無駄な動きがない感じがする。「何を観てきたの?!」って聞いても、「いや、何も観てきていないです」って感じで、たくさんの役者さんや作品を観てきたわけじゃない感じなのに…。とにかく映像の中で動く多部未華子は、すごく爽子に見えました。すごく魅力的な方ですね。ちょっとツンツンしているんだけど、たまに女の子の表情を覗かせてくれるので魅力的ですね」

——では、撮影中に印象に残ったシーンや景色はどこですか?

「肝試しの最中に、風早と爽子がすごくきれいな夜景を見るシーンがあるんですけど、実際にその景色がとってもきれいで…素敵なシーンに仕上がっていると思いますよ。爽子が「何でだろう? いつもよりきれいに見える」っていうセリフもすごくロマンチックで、“小さなロマンチスト”っていう感じがするので、僕自身もすごく好きなシーンのひとつですね。皆さんも、楽しみにしていて欲しいです」

「できないことをやっていきたいですね。(知らないことや、経験していないことは)楽しそうだなって思います」

——ところで、“気持ちを届ける”っていうのが映画の大きなテーマですが、三浦さん自身、想いが届かなくて苦労したことはありますか?

「映画やドラマの番宣の時は、結構思いますね。こういう取材は時間をとってもらえるけど、テレビになると15秒や20秒で言わないといけなかったりするので“もっと伝えたいことがあるのに”とか“もっとうまく伝えられれば良いのに”って思いますね。気持ちはあっても、うまく言えなかったり噛んでしまったりすることがよくあるから…もどかしいですね」

——うまく話すのは、役者とはまた違うテクニックですもんね。

「慣れだと思うんですけどね。だいぶ慣れたとも思うけど、まだ“惜しいな”って思う時がある。『君に届け』は大好きな漫画になったし、映画も一生懸命やったから、芝居を観て欲しいって思っているんですけどね。でもどうしたら良いかなって思っているんです…」

——それは、伝えたいことがたくさんあるから?

「たくさんあるというか、“どうしたら観てくれるかな?”っていうことですね。伝えられることなんて探せばいっぱいあるので、それを“どう伝えたら良いのかな?”って思うんです」

——俳優さんらしい、悩みだと思います。では、好きな人に想いを伝えたり、何かしらの一歩を踏み出している登場人物たちのように、三浦さんが挑戦してみたいと思っていることは?

「役者をやっているので、英語でもタップダンスでも、できないことをやっていきたいですね。何でも良いんです、ジャズダンスでも。ミュージカルも好きなので、きっと役に立つと思うし。今の自分の中の引き出しというか、レパートリーを増やしていきたいとは思っていますね」

——とにかく“役者である自分のため”ということに尽きる?

「そうなんですけど…今は単純に、好奇心ですね。(知らないことや、経験していないことは)楽しそうだなって思います」

インタビュー後記

今月号の表紙は、三浦春馬さんです。
編集部スタッフ、表紙を撮影したカメラマンから観たアーティストの素顔や取材裏話をここだけで公開しちゃいます。

最新出演作の映画『君に届け』で、“超”が付くほどの爽やかなヒーロー・風早を演じている三浦さん。今回の取材でも、白いシャツにグレーのベストと、イメージぴったりのスタイリングに身を包み、颯爽と登場してくださいました。
撮影は、都内のスタジオにて。表紙の撮影からスタートしましたが、とても柔軟にポーズを決めてくれる三浦さん!
どれひとつとして同じものがないくらい(!)、カメラマンの要求に柔軟に応えてくれましたよ(誌面で使われなかったアザーカットを皆さんにお見せできないのが残念!)。
取材は映画の話をメインにしながら、テーマのSTANDARDにまつわる質問にお答えいただきましたが、どんな質問にもテンポ良く答える姿はさすが。ご本人は「映画やドラマの番宣で、もっとうまく伝えられれば…」とおっしゃっていましたが、今回のインタビューでは、映画への熱い想いや三浦さんご自身の素直な気持ちがきっと伝わるはずです!
ぜひ、実際に誌面を手にとって感じてみてくださいね。

出典:FLYING POSTMAN PRESS

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